そもそもガパオとはなんなのか。
最近ではタイ料理専門店やタイ食材屋さんなども増え、タイ料理も日本国内でかなり認知されてきている印象ですね。中でもこのガパオ(あるいはガパオライス)はトムヤンクンとも並ぶほどの人気と知名度があるのではないかと思われる料理です。
しかし、このガパオという料理についての正確な情報は、意外にもあまり知られていなかったりします。その最たるものが、”ガパオ”というのが料理名か何かだと思われている(いや、確かに日本では料理名になっているのであながち間違いでもないのですが…)ことです。つまり、”ガパオ”というのが”カレー”や”餃子”などと同様の集合名詞のようなものだという勘違いがされています。
ところが、実はガパオ(กะเพรา:kaphrao)とはタイ語でホリーバジル(タイバジル)を意味する言葉なのです。ガパオライスは”ホリーバジルご飯”という意味になりますね。
ホーリーバジルというのはアジア、オーストラリアなどの熱帯域を原産とするハーブで、日本でも馴染みのあるバジル(スウィートバジル)とは属は同じですが異なる植物です。香りもかなり違います。
最近では冷凍のものも出回り始め、日本でも通販などである程度は手に入るようになってきていますね。
ちなみにこのガパオライスはタイでも非常に人気の高い食べ物で、レストランでも市場でも食べられますし、お惣菜のようにして具材(ガパオ炒めの部分)だけを購入することもできます。
日本のガパオライスには”ガパオ”が入っていない??本場との違いは…
ところで、実は日本で広まっているガパオライスはお店で提供されているものも含め日本的にアレンジされたものが多いです。残念ながら本場のものとはだいぶ異なります。(もちろん日本版も美味しいは美味しいのですがね)
というのも、日本ではガパオライスと言っていてもホーリーバジル(ガパオ)が入っていない事が多いのです(ガパオライスなのにガパオが入っていないって…)。多くの場合、スウィートバジルを使って代用されているようですが、中にはそもそもバジルさえ使わずひき肉をオイスターソースなどでそれらしく味付けして炒めただけの場合もあるようです。日本でのガパオライスの認識は”ご飯の上にオイスターソースなどで炒めたひき肉と目玉焼きを乗せた料理”という感じでしょうか。
そして実は他にもいくつか、日本のものと本場のものとは違う点があります。
一つは、目玉焼きの焼き方。日本ではそれこそ朝食に並べるような綺麗な目玉焼きを乗せますが、タイでは目玉焼きはたっぷりの油で揚げ焼きのようにしてしまいます。そして一番のポイントは縁がカリッカリになるまで焼くこと。
ふたつ目は、使用される野菜です。日本では玉ねぎやパプリカなど野菜をたっぷりと使う印象がありますが、タイでは基本的に野菜は唐辛子とホーリーバジル、にんにく以外は入りません。ちなみに、一般的ではありませんが、コブみかんの葉を入れると香り高くなるので我が家では隠し味として入れています。
日本でパプリカを使うのは彩りというだけでなく、辛さの問題もあり唐辛子の代用としての役割もあるのでしょう。ちなみにタイでよく使われる唐辛子はプリッキーヌと呼ばれる種類ですが、その辛さは50,000~100,000SHU(スコヴィル)ほどの辛さのものになります。
三つ目の違いは、お肉についてですが、それは次の項で…
肉は鶏肉?豚肉?? 肉の粗さは?ひき肉を使う?
さて、ガパオに使うお肉というと何でしょう。鶏肉を使うのが一般的だと言われたりもしますが、現地では豚肉を使ったものも普通に見かけます。というより、鶏肉も豚肉もどちらも同じくらい使われている印象ですね。ちなみに魚などの魚介を使ったガパオ炒めもあります。ただ、牛肉を使ったものはあまり見かけません。これはそもそもタイには牛肉を食べる文化がなかった(最近は徐々に牛肉食も広まりつつあります)事が理由でしょうね。
そして、お肉問題の一番の核心ですが、ガパオライスというと日本では”ひき肉”料理だという認識があります。しかし、実はこれも必ずしも正しいわけではありません。現地では幅広いサイズのお肉が使用され、必ずしもひき肉を使うわけではありません。もちろん日本で売られているひき肉のように細かく挽いたお肉で作られているものもありますが、焼肉のお肉のように大きな切り身を使ったものもあります。その上で、個人的な経験としては、ひき肉というよりは粗めに切ったものを包丁で叩いたようなもの多い印象です(しかも、これが一番美味しい)。
タイ料理といえば辛い印象があるかと思いますが、意外とお砂糖を使う事が多く、ガパオ炒めにもお砂糖を使います。これにより辛さとのバランスも良くなり、お肉ともよく絡みジューシーに仕上がります。
では、これらを踏まえて本格的なガパオライスのレシピを紹介しましょう。*今回は鶏肉を使ったレシピを紹介します。
香り高い本格ガパオライスのレシピ!!
香り高い本格ガパオライス
Ingredients
- 1 枚 鶏胸肉 部位はお好みで選択可
- 5~10 本 唐辛子 赤と青どちらも
- *カラーピーマン *辛さが苦手な場合は唐辛子の代わりに
- 20 枚ほど ホーリーバジル(タイバジル) *ガパオ
- 3 枚 コブミカンの葉 *乾燥もの
- 3 欠片 ニンニク
- 1 合 ジャスミンライス
- 1/2 大さじ シーズニングソース なければ醤油で代用
- 1 大さじ オイスターソース
- 1 ~ 1 1/2 小さじ 砂糖
- 1 小さじ ナンプラー 好みで
- 1 個 卵
Instructions
下準備 1 : 食材の準備
- 鶏肉は粗く賽の目切りにして包丁のみねで叩いておく。その後塩をまぶし軽く揉み込んで置いておく。
- 唐辛子は粗めの輪切りにする。唐辛子は種が特に辛いので、使う種の量を調整することで辛さを調整できる。特に辛さが苦手な場合はピーマンやパプリカで代用しても良い。
- ニンニクは皮を剥いてみじん切りにしておく。
- コブミカンの葉を使う場合は、水につけて戻しておく。ある程度戻れば、茎の部分は口に残るので取り除いておく。
下準備 2 : あらかじめ用意するもの
- ジャスミンライスは水洗いして、炊いておく。土鍋や炊飯器で炊く場合は米と水の分量は普通の白米を炊く際と同程度の割合で良い。
- 目玉焼きは中華鍋に多めの油を注ぎ、揚げ焼きするようにして作る。お玉を使って油をかけながら調理すると良い。
本調理
- 中華鍋に油を敷き(大さじ1ほど)、ニンニクと唐辛子を焦がさないように注意しながら炒め香りを出す。*唐辛子を炒める際にカプサイシンが一気に立ち上り危険ですので注意しましょう。
- 鶏肉を鍋に加え、酒少々を注いで臭みを飛ばすように強火でしっかりと色が変わるまで炒める。
- おたま一杯分の水を加える。これによって次に入れる調味料を満遍なく絡ませる事ができる。*ここで水を入れすぎると、水気を飛ばすのに時間がかかるので注意しましょう。
- 砂糖、オイスターソース、シーズニングソース、ナンプラーを加えて具材としっかり炒めあわせる。
- 水気がなくなってきたら、ホーリーバジルと粗くちぎったコブミカンの葉を加えてさっくり混ぜ合わせる。
- 最終的に水気がなくなりとろみが出て全体に絡まるようになれば具材の"ガパオ炒め"は完成。
- 炊き上がったジャスミンライスを皿に盛り付ける。
- ジャスミンライスの上に"ガパオ炒め"、目玉焼きを乗せて出来上がり。