自家製ラー油…
ラー油(辣油)とは中華料理の定番の真っ赤な調味料のこと。四川料理における麻辣味の片翼を担う辣味、つまり唐辛子の辛さを移した油である。
ちなみに中国ではラー油ではなくラーズ(油泼辣子 (yóu pō là zǐ))と呼ばれる。
日本では数年前から”食べるラー油”なるものが売られるようになっているものの、日本におけるラー油とは”透き通った赤い油”。つまり、唐辛子の香りを移した油だけを抽出したものを指すのが一般的である。
一方で中国では、ラー油を作る際に使われた香辛料やら薬味やらが容器の中にたっぷりと入っているラー油が一般的で、その上澄みをすくって使うことが多い。
さてこのラー油、実は家でも簡単に作ることができる。では、まずはラー油によく使われる食材を見ていこう。
ラー油によく使われる香辛料
一口にラー油とはいってもひとのこのみは千差万別。絶対にこれでなくてはならないという作り方があるわけではない。実際のところ油の種類、使われる調味料の種類なども様々。分量や辛さも各店、各家庭でそれぞれ。最もシンプルなラー油は、唐辛子と油だけのものである。
なので、好みの材料を好みの分量で合わせれば良いのだが、参考のためにここではよく使われる香辛料を紹介しておこう。
ラー油によく使われる香辛料としては、花椒、八角、桂皮、陳皮、などが挙げられる。
花椒は四川料理の特徴的な香辛料で多くの人が知るものであろう。八角というのは西洋食材でいうスターアニスで甘い香りが特徴な香辛料。桂皮というのはシナモンのこと。そして、陳皮というのは、マンダリンオレンジの皮を乾燥させたものである。
そして香りをつける香味薬味としてはネギ、ニンニク、玉ねぎ、ごまなどが人気高い。いわゆる“食べるラー油”などの具沢山ラー油はこういった薬味が入ったものであるが、難点としては葱や玉ねぎなどに水分が多いのでカビなどが生えやすいことが挙げられる。
今回は具入りでない比較的シンプルなラー油の作り方を紹介しよう。
自家製ラー油の本格レシピ
自家製ラー油
Ingredients
- 500 ml 菜種油 サラダ油でも可
- 2 大さじ 粉唐辛子
- 10~ 本 唐辛子(ホール)
- 20 g 生姜
- 3-4 片 ニンニク
- 1 本 青ネギ
- 2 個 八角
- 1 本 桂皮
- 20~ 粒 花椒
Instructions
下準備
- 生姜は皮付きの方が香りがしっかりと出るので、皮を剥かないままで薄切りにする。どうしても気になるなら剥いてしまっても構わない。
- ネギは5cmほどにザクザクと切っておく。青い部分も使う。
- ニンニクは皮付きのままで根の部分だけ切り落とす。気になるなら皮剥き芽取りをしても構わないが、あくまで香りを移すためなので特にする必要もない。
- 鍋に油をたっぷりと注ぎ、強火で温める。十分高温になったら、一度火を止め少し温度を下げておく。*入れた香辛料がすぐに焦げないようにするため。温度計などで温度調整可能なら170度ほどに熱してそのまま調理に入って良い。
本調理
- 香辛料が焦げない程度に温度が下がったら、桂皮、八角、花椒、さらにハサミで半分に切った唐辛子を種と一緒に加える。その後、再び火をつけ、弱火〜中火で焦がさないようにして香りと辛味を出していく。
- 葱、ニンニク、生姜を加え、じっくりと香りを移すために、10〜15分ほど弱火で揚げる。葱がカリカリになるのが目安。
- 香りを油に移している間に、ボウルに粉唐辛子、白胡麻、ざく切りにした唐辛子を入れておく。この後、高温の油をそそぐので、その際に焦げないように少量の水を加えて満遍なく混ぜておく。入れすぎると逆に危険なので、あくまでほんのり湿らせる程度に止める。
- 一方、再び油の方に戻る。十分に揚がると、葱やニンニクがこんがりと色づき、生姜は水気が抜けて縮む。その状態になれば香りも十分に油に移っているので、ザルなどを使って油と香辛料類を分離する。
- 熱々の油を先ほどの唐辛子を入れたボウルに注ぐ。油を注いだ際に、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンが目に入らないように気をつける。
- 油を全て注いだら、十分に撹拌してから、十分時間放置して粗熱を取る。その後清潔な保存容器に移して保存する。放置しているうちに粉唐辛子は沈殿していくので、使用する際は上澄みの基本的には油のみを使う。辛さを調節したいときや、唐辛子を前面に出したい料理などに使う場合は、沈殿している粉唐辛子を適宜使うと良い。