洋梨を使ったオーブン料理。ザクセン=アンハルト州の”Köthener Schusterpfanne”!!
今回紹介するのはドイツはザクセン=アンハルト(Land Sachsen-Anhalt)州の郷土料理”Köthener Schusterpfanne”。
豚塊肉、ジャガイモ、(好みで玉ねぎ)、そして洋梨と、以前紹介したMecklenburg-Vorpommern州の煮込み料理”Bohnen, Birnen und Speck“と似た食材を使用している。ちなみにLand Sachsen-Anhalt州とMecklenburg-Vorpommern州とはかろうじて接して…こそはいないが、ある程度近隣州ではあるので使われる食材も似通ってくるのかもしれない。
“Köthener Schusterpfanne”は日本語訳を試みるとすると”Köthener=ケーテン風”、”Schuster=靴屋、靴職人”、”pfanne=平鍋,フライパン”という意味なので’ケーテン風 靴職人の平鍋料理’といったところだろうか。
実は名前の由来については、僕も詳しくは知らない(ドイツ人でもはっきりとはわからないらしい)のだが、Land Sachsen-Anhalt州の中にはかの有名な作曲家 大バッハ(Johann Sebastian Bach)とゆかりのあるKöthen(ケーテン)という郡市が存在するので、Köthener(ケーテン風)はこのKöthenを意味していると考えて良さそう。Köthenがこの料理の起源なのだろうか。
pfanne(平鍋)は調理器具なので良いとして、Schuster(靴職人)については、どうなのだろうか。いくつかのドイツ語のサイトを調べてみたところ、どうやら出来上がりを上から見た目(ジャガイモと梨に囲まれた豚肉)が靴を連想させるところから来ているのだそうなのだが…正直見方がわからない。ちなみにKöthenはその昔 靴職人の大きなコミュニティがあったほど靴産業が盛んだったらしい…が真偽の程は不明。
器の中で肉の旨みと洋梨の甘さが混ざり合う!!
“Köthener Schusterpfanne”がどんな料理なのかというと、ドイツ料理らしく素材を前面に押し出した豪快なロースト料理であり、調理法は耐熱容器に食材を全て入れてオーブンで焼くだけという、至ってシンプルなもの。
しかし、オーブンでじっくりと火を入れるうちに豚の肉汁や脂、洋梨の果汁や玉ねぎのエキスが溢れ出し、器の中で肉の旨味と自然な甘みが絶妙に混ざりあう。お汁にひたひたに浸ったジャガイモは存分に旨味を吸い、さらにハーブが全体に香りを足すことで素朴な味わいの奥に形容し難い複雑な味わいが生まれる。
そして、食材から出るたっぷりの水分で蒸し焼きのように焼き上げられることで、肉は柔らかくしっとりと仕上がるのである。個人的には豚肉は3%ほどの濃度の食塩水で1週間ほど漬け込んだ塩漬け肉を使うのがおすすめ。
ちなみに、豚塊肉はダイス状に切ってから焼くというのも定番の調理法である…が、そうなるとほんとに何がどう”靴”に見えるのかわからない気がする。
ハーブについては同じく豚肉のロースト料理であるシュバイネブラーテンと同じくKümmel(キャラウェイ)などを使う。さらに、この料理には多くの場合キャラウェイとともにBeifuß(英語名:Mugwart; 日本名:オウシュウヨモギ)と呼ばれるヨモギの近縁種のハーブが使用されるのだが、手に入らないようならヨモギ(もちろん香りは異なるが)あるいはその他のハーブで代用すると良い。
“Köthener Schusterpfanne”本格レシピ
*本レシピは記事公開から一定の日数が経過したので有料化しています。