ディルショット(Dillkött)とは??
Dillköttとはkalop(記事はこちら)と並ぶスウェーデンの煮込み料理。古くからある伝統的な家庭料理の一つで長くスウェーデン家庭で愛される定番中の定番。名前の通りDill(ディル)を使った料理で、生クリームの白さの中にディルの緑が映える見た目と砂糖とヴィネガーを使って調味される甘酸っぱい味付けが特徴。茹でたじゃがいもを添えて供されることが多い。
ご存知の方も多いだろうが、Dillは北欧諸国で広く愛されているハーブで、甘く爽やかな香りを持つ。生クリームとの相性は言わずもがなながら、このハーブの持つ独特の風味が甘酸っぱい味付けと絶妙な調和を演出する。
ちなみにKöttというのはスウェーデン語で”肉”を意味する(ちなみに日本でも有名なスウェーデンミートボールはKöttbullarという)ので、”Dillkött”は”肉のディル煮込”といったニュアンスに訳せるだろうか。この料理には主に仔牛肉が使われるが、ラム肉で代替されることもある。
日本語で紹介されているレシピの中には豚肉で代用可能と書かれているものも散見されるようだが、試したことがないのでなんともいえない。少なくとも食感などは全く異なるのではないかと思う。仔牛肉は脂身が少なく低脂質で肉質が柔らかいという特徴がある。個人的には通常の牛肉をきちんと処理して使う(詳細はレシピ部分を参照のこと)のが一番近い味わいに仕上がるのではないかと思う。
煮込みに関しては、シンプルに肉だけをディルソースで煮込み、付け合わせの野菜は別茹でにするというレシピも見かけるが、煮崩れするじゃがいも以外は一緒に煮込む方がおすすめである(もちろんじゃがいもも一緒に煮込んでも良い)。じゃがいも以外で使われる定番の野菜はにんじんとリーキ(ポロネギ)。リーキは最近では日本でも手に入るようになってきたが、もし手に入らなくても玉ねぎで代用してみると良いだろう。
ではDillköttの本格的なレシピを紹介しよう。
Dillköttの本格レシピ
Dillkött
Ingredients
- 500 g 牛肉 シチュー用の塊
- 1/2 本 リーキ なければ玉ねぎ(中)1個で代用
- 1 本 人参
- 小さじ 2 乾燥ディル
ディルソース
- 100 ml ブイヨン *煮汁
- 100 ml 生クリーム
- 1 大さじ crème fraîche
- 1 1/2 大さじ 砂糖
- 2 小さじ 塩
- 2 大さじ 白ワインヴィネガー
- 20 g バター
- 2 大さじ 小麦粉
- このみの量 乾燥ディル
Instructions
下準備1:肉の下準備
- 肉は軽く水洗いして表面の汚れを取ってから、一口大に切り分ける。
- ボウルに水をはり、切り分けた肉を洗う。ここである程度 表面の血合いを落としておく。
- 塩水(5%~8%ほど)を用意し、切り分けた肉を入れ30分~1時間ほどつけておく。これにより、肉に下味が染み込むとともに、血抜きができる。また、この工程により肉も柔らかくなる。
下準備 2 : 野菜の準備
- 人参とリーキはそれぞれ一口大に切っておく。
本調理
- 血抜きをした肉を鍋に入れ、ひたひたに浸かるまで水を注いで火にかける。
- お湯が沸々と煮立ち、肉のアクも出なくなれば、人参とリーキも鍋に入れる。煮込みの際には、白胡椒とベイリーフに加え、乾燥ディル(生のディルだと煮込むうちに色が悪くなる)を一緒に煮込む。
- 鍋の蓋をして、吹きこぼれないくらいの火加減で肉が柔らかくなるまでじっくりコトコトと1時間ほど煮込む。
- 十分に煮込めたら、濾して具材と煮汁を分ける。*煮汁の出汁が薄い場合は、固形ブイヨンなどを加えても良いが、あまり濃くしすぎないように注意する。
ディルソース作り
- フライパンにバターを溶かし、焦がさないように気をつけながら小麦粉を炒め、ルーを作る。
- 生クリームを半量ほど加えてダマができないように気をつけながらルーを伸ばしていく。煮汁よりも先に生クリームを加えるとダマになりにくい。
- 続いて、漉した煮汁を注ぎ、伸ばしていく。
- crème fraîcheを加え、均一になるように溶かす。
- 砂糖と塩を加えて味を整える。
- さらに白ワインビネガーを加える。
- ディルを加える。
- 仕上げに残りの生クリームを加えて、濃度を調整する。
- 茹で上げていた肉と野菜を皿に盛り付け、上からたっぷりとディルソースをかけて完成。